YDD-Tech Notes 技術メモ Part1 101〜113 2008-5-14 update(111-113)

水中で宇宙船を走らす為の基本情報をまとめています。
今まで誰も語らなかった情報を公開。
101 防水リンケージの話 その1
水中モデルの中で一番難しいのはスクリューシャフトと船体の水密です、水上艦だと
スタンチューブなるものでプロペラシャフトを包んで防水機構を持たせています。
この部分に関しては私自身プロペラを使わずお手軽ポンプ改造をメインにしているので
特にここで述べることは無いのですが、同じシャフトを使うサーボのリンケージについて
考えてみましょう。

水密サーボに関してはTechNotePart2ですでに話が出ていますが、水密サーボの利点は
リンケージに気を遣わないで通常の陸物や空物ラジコンと同じような取り回しが可能になり
サーボ自体も水密化分の余計なスペースが不要になると言うメリットがあります。
その反面、水密サーボ自体の耐久性にやや問題があるためそれらのメリットがあるにして
もデメリットの方が大きいと言わざるを得ません。

では、サーボを防水のケースに入れたとして、リンケージはどうするかという具体的な
問題が出てきます。 これがまたなかなかの難問です。


102 防水リンケージの話 その2
そもそも、なんでサーボが必要かというと、潜舵や方向舵を動かす為に物理的な力を
かけて動かす必要があるためで、サーボをケースに入れてもリンケージに関しては
必ず水の中に出さなければなりません、これは WTCでも同じですし、完全ドライハル
の船体を作っても舵のシャフトに関しては防水が必要になります。

つまりどうしても避けては通れない道です。

簡単な方法はスタンチューブのように長めのパイプにシャフトを通してグリスで防水する
方法です。たとえば3mm真鍮パイプの内径はほぼ1.5mmなので1.5mm真鍮棒を中に
入れて水密部分にグリスケースを付けてグリスで防水する方法です。これで一応の防水
は可能になります。サーボのリンクロッドはプロペラシャフトのように高速回転する
訳ではありませんからこの方法でも可能になります。

ただし、グリスは水と交わると乳化しますから頻繁なチェックとグリスアップや交換が
必要になります。また水深が深くなると水圧もかかってくるためこの方法では厳しい
場合も出てきます。

ただ、製作が比較的簡単なためおすすめの方法ではあります。

103 防水リンケージの話 その3
私の使用している水密方法はこの方式に更にだめ押しをしたようなリンクロットです。

パイプ部分を三重構造にして先端と後端を3mm、中間をにした5mm形になっています。
1.5mm真鍮棒をリンクロッドにしていますから5mmパイプになっている部分は当然
空間があきます。そして、この部分にグリスが入って防水機能を持たせています。
さらに、この5mmパイプの中の端端にOリングを入れてグリスをパッキングして
より水圧に強い構造にしています。

これでほぼ完璧な防水リンクロッドとなるわけですが作る手間と後からのグリス補充など
の手間を考えると 、やりすぎの気もしないわけではありません。

ただ、こういった方法でも稼働部はあるわけで、Oリングで押さえていても稼働すれば
わずかづつでもグリスは減っていきますし、結局の所メンテの回数が減るだけで
完全メンテナンスフリーとまではいきません。

3mや5mといったプールで使用すると言う前提で考えるとこのぐらいのことはしょうが
ないかとも思いますが、完全非接触、稼働部なしというリンク方法がない物か・・・と
常に考えてはいますが省スペースで確実な方法という技術の模索はまだまだ続きそうです。

 

104 水密ケースのパッキンの話 1
水中モデルを作るに当たってどうしても避けて通れないのが水密ケースの防水パッキンです。
普通パッキンというとゴムを想像しますがゴムを使うのは結構難しいです、

通常水密ケースは2mmまたは3mm厚程度のアクリル板を使用して作っています。
蓋の部分はネジとナットでがっちり締めるわけですがこのネジの間隔が狭いと取り外しが
煩雑になりますし少なくても閉めたときにアクリルがしなって隙間があいてしまいます。

この隙間を埋めるのがパッキンとなるわけですが、ゴムだと結構固いため完全に密着させ
るのが難しいのです。そこで私が使うのはゲルパッキンです。東急ハンズで売っていて
2mmから3mm厚ぐらいの透明な柔らかいゴムのような物です。

これには上下に保護シートがついていますがこれをはずして使います。


105 水密ケースのパッキンの話 2
このパッキンの優れた点は非常に柔らかくて柔軟性があり密着性が高いことです。
難点はぺたぺたくっつくので取り扱いがしづらいのと10cm角で900円近くする
というコストの問題です。


しかし、このパッキンを使用するとケースのわずかな歪みや圧着面のきずや少々の
でこぼこは無視しても大丈夫になります。

私のような自作ケースの精度が高くない場合、強力な味方となってくれます。
もはやこれ無しでは私の防水ケースは成立しません(´Д`;)
行多少コスト高になっても水漏れによるメカの破損やトラブルを考えると安い物かも
しれませんし、ケース自体が多少ゆがんでも確実に密着して防水してくれるのは製作の
時間短縮にもつながります。

耐久性もほぼ一年以上使っていますから問題ないと言えるでしょう。
私のように高価な精密工作機器を持たない者には適材適所の素材でカバーできることは
カバーしてしまうという事が重要なんだと思います。

これなくして私の防水ケースは成り立ちません・・・(´Д`;)

106 時間の罠、接着剤の話 1
Partで接着剤の話をしましたが、EP001について補足があります。

接着剤を制す物は水中を制す!、それが私の持論なのですが、ここにきて
新事実が出てきました。EP001も万能ではない・・・・。

最近ENTERPRISEの補修でサーボケースやバッテリーケースを分解することが
あり、防水に非常に重宝するEP001にも弱点があることが分かってきました 。

耐久性に関して申し分ないのは事実ですが、絶えず水にふれまた空気に触れて
いると黄色く変色してきます。これ自体はさほど問題ないのですが、バッテリー
ケーブルなどで温度変化がある部分の劣化がやや早くなるのに気がつきました。

約2年程度で弾力が失われてきてもろくなってきます。水や空気に触れない
内部の方は2年経過後でもほとんど変色もせず弾性も問題ないので、やはり
耐候性という部分ではまったくメンテフリーというわけにはいきそうもあり
ません。

ただし、それでも実用上十分な状態は維持してはいます。・・・(´Д`;)

107 時間の罠、接着剤の話 2
最近エンタープライズのバッテリーケースが浸水するようになってきました。


原因はケースから引き出しているバッテリーのケーブルの接合部の接着剤の
劣化。 ケースの防水と違い柔らかなビニールコードの部分の防水ですから
交換時やメンテナンス時に力が加わりケースとケーブルの間の接着剤に
力がかかり、接着剤自体がもろくなってきていました。。

このわずかな隙を水が逃すはずはありません、そう、ここからほんのわずか
漏水するのです 。

もちろん接着剤が新しいうちは十分な弾性があり隙間など空きませんが、
時間と共に劣化してきた場合、硬化した接着剤の隙間から漏るようになって
きてしまいます 。

ただし、過酷な環境の中で2年も持ちこたえる接着剤というのも逆に言うと
凄いと言わざるを得ません 。 結局現在最適な接着剤であるのは間違いあり
ません。

ではどうするか、実は簡単な補強法があります。 それはEP001を塗った後
バスコークで密封するように上塗りすることです。

なーんだ、じゃあ最初からバスコークを使えばいいじゃん。ということに
なるんですが・・・・。

108 時間の罠、接着剤の話 3
バスコークはそもそもお風呂の水漏れ防止用の用品です。ただ、これは
純然たる接着剤というわけにはいきませんし、乾燥時間も長くかかりま
すから

メインの接着剤としてはつかえません。あくまで補修用品です。

ですが、水のある環境で使う物ですから防水能力はぴかいちです。

つまり、両方のいいところを取り入れた作り方をすればいいわけで、
細かな隙間とケースの接着にEP001を使用して、そのEP001をサポート
する形でバスコークでだめ押しすればより強力な防水、対候性能
が得られます 。

そしてEP001がより長持ちします。

ヴォイジャーのメカボックスがこの方法で4年たっても全く問題ありません
じゃあ、エンタープライズのも最初からそうしろよ!・・・ではありますが

EP001だけでも十分な防水性能があるため油断してた・・・ということです。
・・・(´Д`;)

水というのは本当にやっかいです、10分、1時間、1日、一ヶ月、1年・・・
より長く持たせるためには、それなりの方法を考えなければならないのです。

109 RN Murateck55のピッチコントローラーの話 1
アクアモデラーズのメンバーにRNさんという方がいます。

今回その人の製作した
ピッチコントローラーの話です。

ピッチコントローラーって何>?と言う方はPart2ピッチコントローラーの話を
参照してください。

私のHP上でアクアレーサーの記録は全く更新していませんが、実は現状では
中身は最初と全くの別物です。 ブラシレスモーターやマグネットスイッチ
なども変更していますし特注の電子式ピッチコントローラーも搭載しています。
その中でも特筆なのが電子式ピッチコントローラーです。

レーサー用に小舵角で小刻みに素早い反応で自動的に深度を一定に
しれくれます 。 ピッチコントローラー自体は海外製が入手可能ですが
もともとレーサーのような高速艇を想定していないので反応が遅く波打つ
ような機動になってしまいます。

それではレーサーではロスが大きいので、反応が早く、しかも大きく舵を
切らないセッティングのピッチコントローラーが望まれていました。

110 RN Murateck55のピッチコントローラーの話 2
そこに現れたのが救世主RNさん。

なんと加速度センサーを使った電子制御
ピッチコントローラを作ってくれました。
開発はRNさんテストは私、というスタンスで試作を繰り返してようやく
完成したのがニュートラル位置の変更、操舵角の変更が可能な新型ピッチコン、
675ALです。

電子制御方式ですから、レーサーのような高速艇から大型潜水艦模型まで
対応でき、しかも機械式と違い自分でセッティングが出来るのが魅力です。
実用域になった現在でも開発が続いていて進化し続けています。

市販している物ではありませんのでここで取り上げるのもどうかとも
思いましたが、現状メンバー間でオーダーして作ってもらう状況ですが、
需要があれば量産も可能になります 。

いかんせん私たちはかなりマイナーな趣味の愛好家ですからそうそう
需要が広がるとも思えませんが、こういう技術の地道な開発が後につながって
いけば良いのではないかと思っています。

後に制作する予定のENTERPRISE1701refitの各種ギミックコントローラも
すでにお願いしていますからそちらはまたいずれ紹介すると思います。

111 ホントに怖い水の話 1 (106-108の補足)
私たち水中モデラーの一番の敵はいわずもがな水です。 でも水がなければ
水中モデルも存在できません。ですからある時は水と戦い、ある時は水と
友達になるという微妙な関係でつきあうことになります。

私が水中モデルを始めた当初は諸先輩方を見ていると皆さん何度も水漏れを
起こしどうして漏れるような作りをするのだろう?・・・と、不思議に思って
いました。私なら完璧に防水できるかも知れない・・・という思い上がりは
最初の制作艦のE型をJAMSTECで走行させて10秒で崩れ去りました。

確かに前日までは完璧に防水が出来ていました。そして動作も問題ありません
でした、

そう、この前日というのがくせ者でした。

この時に使用していた接着剤、水に強いといううたい文句の接着剤が水に濡れて
一晩で剥がれかけ、アンプに浸水し無惨にもコントロール不能で3.3mの水底に
一直線・・・。あの時の感動・・じゃない絶望は今でも忘れません。

112 ホントに怖い水の話 2 (106-108の補足)
その絶望から半年、徹底的に接着剤と防水用の材料を研究して制作した
のが完成後3年半年を超した現在のヴォイジャー。

接着剤を制す物は水中を制す!、その時に学んだ教訓です。

接着剤の話はtecknoteにすでに書いてありますがそれの補足として追記しよう
と思います。

とにかく水はどこからでも入ってきます。少しでもこちらが隙を見せると
情け容赦なく入ってきます。たとえばケースの外に出したアンテナ線の先端
に防水処理をしないとここから毛細管現象のごとくしみこんできます。
ケースの隙間などそれはもうそれ以前の問題です。

また、パッキンの劣化や、グリス不足なども容赦なく見逃してくれません。
さらに時間経過による接着剤の劣化など、上げたらきりがありません。

そう、1時間の防水と、1ヶ月もつ防水と数年持たせなければならない防水と
いうのは各々レベルが 全く違うのです。

113 ホントに怖い水の話 3 (106-108の補足)
先にも書いたように耐水性抜群のEP001ですら1年以上使うと変色し劣化が
起こっていきます。

防水処理に使うのに適しているのはEP001とMOS7ぐらいなのですが、これ
ですら時間による変化には逆らえません。

前回バスコークの上塗りの話をしましたが、実はバスコークではなく
スーパーシールでした。 バスコークでも十分シールされますが乾燥が遅く
作業的にはスーパーシールの方が乾燥が早く(それでも2〜3時間は必要です
が)作業効率が良くなります。

また、スーパーシールのグレーは屋外用の補修剤でもあり耐候性なども
バスコークより優れています。(値段も倍ぐらいしますが・・・)

それでもEP001を保護し防水性能をキープしてくれますからこれは積極的に
使用した方が良いと思います。

最近エンタープライズの補修で使用し、これからヤマトをばらしてスーパー
シールによる補修を行います。
分かっていてやらないのはお話になりません。バッテリーケースの蓋を閉め忘
れるといったヒューマンエラーのたぐいのことではないからです。
初心忘れるべからず・・・。本当に水は情け容赦ありません。