Tech note 水中モデルの為の技術情報集
         
  Tech notes -part4 (101-110)  
         
 

101 防水リンケージの話 その1
水中モデルの中で一番難しいのはスクリューシャフトと船体の水密です、水上艦だとスタンチューブなるものでプロペラシャフトを包んで防水機構を持たせています。この部分に関しては私自身プロペラを使わずお手軽ポンプ改造をメインにしているので特にここで述べることは無いのですが、同じシャフトを使うサーボのリンケージについて考えてみましょう。

水密サーボに関してはTechNotePart2ですでに話が出ていますが、水密サーボの利点はリンケージに気を遣わないで通常の陸物や空物ラジコンと同じような取り回しが可能になりサーボ自体も水密化分の余計なスペースが不要になると言うメリットがあります。

その反面、水密サーボ自体の耐久性にやや問題があるためそれらのメリットがあるにしてもデメリットの方が大きいと言わざるを得ません。では、サーボを防水のケースに入れたとして、リンケージはどうするかという具体的な問題が出てきます。これがまたなかなかの難問です。

102 防水リンケージの話 その2

そもそも、なんでサーボが必要かというと、潜舵や方向舵を動かす為に物理的な力をかけて動かす必要があるためで、サーボをケースに入れてもリンケージに関しては必ず水の中に出さなければなりません、これは WTCでも同じですし、完全ドライハルの船体を作っても舵のシャフトに関しては防水が必要になります。 つまりどうしても避けては通れない道です。

簡単な方法はスタンチューブのように長めのパイプにシャフトを通してグリスで防水する方法です。たとえば3mm真鍮パイプの内径はほぼ1.5mmなので1.5mm真鍮棒を中に入れて水密部分にグリスケースを付けてグリスで防水する方法です。これで一応の防水は可能になります。サーボのリンクロッドはプロペラシャフトのように高速回転する訳ではありませんからこの方法でも可能になります。

ただし、グリスは水と交わると乳化しますから頻繁なチェックとグリスアップや交換が必要になります。また水深が深くなると水圧もかかってくるためこの方法では厳しい場合も出てきます。

ただ、製作が比較的簡単なためおすすめの方法ではあります。

103 防水リンケージの話 その3

私の使用している水密方法はこの方式に更にだめ押しをしたようなリンクロットです。 パイプ部分を三重構造にして先端と後端を3mm、中間をにした5mm形になっています。1.5mm真鍮棒をリンクロッドにしていますから5mmパイプになっている部分は当然空間があきます。そして、この部分にグリスが入って防水機能を持たせています。さらに、この5mmパイプの中の端端にOリングを入れてグリスをパッキングしてより水圧に強い構造にしています。

これでほぼ完璧な防水リンクロッドとなるわけですが作る手間と後からのグリス補充などの手間を考えると 、やりすぎの気もしないわけではありません。

ただ、こういった方法でも稼働部はあるわけで、Oリングで押さえていても稼働すればわずかづつでもグリスは減っていきますし、結局の所メンテの回数が減るだけで完全メンテナンスフリーとまではいきません。

3mや5mといったプールで使用すると言う前提で考えるとこのぐらいのことはしょうがないかとも思いますが、完全非接触、稼働部なしというリンク方法がない物か・・・と常に考えてはいますが省スペースで確実な方法という技術の模索はまだまだ続きそうです。

 
         
 
104 水密ケースのパッキンの話 1

水中モデルを作るに当たってどうしても避けて通れないのが水密ケースの防水パッキンです。普通パッキンというとゴムを想像しますがゴムを使うのは結構難しいです、

通常水密ケースは2mmまたは3mm厚程度のアクリル板を使用して作っています。蓋の部分はネジとナットでがっちり締めるわけですがこのネジの間隔が狭いと取り外しが煩雑になりますし少なくても閉めたときにアクリルがしなって隙間があいてしまいます。

この隙間を埋めるのがパッキンとなるわけですが、ゴムだと結構固いため完全に密着させるのが難しいのです。そこで私が使うのはゲルパッキンです。東急ハンズで売っていて2mmから3mm厚ぐらいの透明な柔らかいゴムのような物です。

これには上下に保護シートがついていますがこれをはずして使います。


105 水密ケースのパッキンの話 2

このパッキンの優れた点は非常に柔らかくて柔軟性があり密着性が高いことです。難点はぺたぺたくっつくので取り扱いがしづらいのと10cm角で900円近くするというコストの問題です。

しかし、このパッキンを使用するとケースのわずかな歪みや圧着面のきずや少々のでこぼこは無視しても大丈夫になります。私のような自作ケースの精度が高くない場合、強力な味方となってくれます。もはやこれ無しでは私の防水ケースは成立しません(´Д`;)

多少コスト高になっても水漏れによるメカの破損やトラブルを考えると安い物かもしれませんし、ケース自体が多少ゆがんでも確実に密着して防水してくれるのは製作の時間短縮にもつながります。

耐久性もほぼ一年以上使っていますから問題ないと言えるでしょう。私のように高価な精密工作機器を持たない者には適材適所の素材でカバーできることはカバーしてしまうという事が重要なんだと思います。

これなくして私の防水ケースは成り立ちません・・・(´Д`;)


 
         
 
106 時間の罠、接着剤の話 1

Partで接着剤の話をしましたが、EP001について補足があります。

接着剤を制す物は水中を制す!、それが私の持論なのですが、ここにきて新事実が出てきました。EP001も万能ではない・・・・。

最近ENTERPRISEの補修でサーボケースやバッテリーケースを分解することがあり、防水に非常に重宝するEP001にも弱点があることが分かってきました 。

耐久性に関して申し分ないのは事実ですが、絶えず水にふれまた空気に触れていると黄色く変色してきます。これ自体はさほど問題ないのですが、バッテリーケーブルなどで温度変化がある部分の劣化がやや早くなるのに気がつきました。

約2年程度で弾力が失われてきてもろくなってきます。水や空気に触れない内部の方は2年経過後でもほとんど変色もせず弾性も問題ないので、やはり耐候性という部分ではまったくメンテフリーというわけにはいきそうもありません。

ただし、それでも実用上十分な状態は維持してはいます。・・・(´Д`;)

107 時間の罠、接着剤の話 2

最近エンタープライズのバッテリーケースが浸水するようになってきました。

原因はケースから引き出しているバッテリーのケーブルの接合部の接着剤の劣化。ケースの防水と違い柔らかなビニールコードの部分の防水ですから交換時やメンテナンス時に力が加わりケースとケーブルの間の接着剤に力がかかり、接着剤自体がもろくなってきていました。。

このわずかな隙を水が逃すはずはありません、そう、ここからほんのわずか漏水するのです 。もちろん接着剤が新しいうちは十分な弾性があり隙間など空きませんが、時間と共に劣化してきた場合、硬化した接着剤の隙間から漏るようになってきてしまいます 。

ただし、過酷な環境の中で2年も持ちこたえる接着剤というのも逆に言うと凄いと言わざるを得ません 。 結局現在最適な接着剤であるのは間違いありません。

ではどうするか、実は簡単な補強法があります。 それはEP001を塗った後バスコークで密封するように上塗りすることです。なーんだ、じゃあ最初からバスコークを使えばいいじゃん。ということになるんですが・・・・。

108 時間の罠、接着剤の話 3
バスコークはそもそもお風呂の水漏れ防止用の用品です。ただ、これは純然たる接着剤というわけにはいきませんし、乾燥時間も長くかかりますから メインの接着剤としてはつかえません。あくまで補修用品です。

ですが、水のある環境で使う物ですから防水能力はぴかいちです。

つまり、両方のいいところを取り入れた作り方をすればいいわけで、細かな隙間とケースの接着にEP001を使用して、そのEP001をサポートする形でバスコークでだめ押しすればより強力な防水、対候性能 が得られます 。

そしてEP001がより長持ちします。

ヴォイジャーのメカボックスがこの方法で4年たっても全く問題ありません。じゃあ、エンタープライズのも最初からそうしろよ!・・・ではありますが

EP001だけでも十分な防水性能があるため油断してた・・・ということです。・・・(´Д`;)

水というのは本当にやっかいです、10分、1時間、1日、一ヶ月、1年・・・より長く持たせるためには、それなりの方法を考えなければならないのです。


 
         
 
109 RN Murateck55のピッチコントローラーの話 1
アクアモデラーズのメンバーにRNさんという方がいます。
今回はその人の製作したピッチコントローラーの話です。

ピッチコントローラーって何>?と言う方はPart2ピッチコントローラーの話を参照してください。

私のHP上でアクアレーサーの記録は更新していませんが、現状では中身は最初と全くの別物です。 ブラシレスモーターやマグネットスイッチなども変更していますし特注の電子式ピッチコントローラーも搭載しています。その中でも特筆なのが電子式ピッチコントローラーです。

レーサー用に小舵角で小刻みに素早い反応で自動的に深度を一定にしれくれます 。ピッチコントローラー自体は海外製が入手可能ですが、もともとレーサーのような高速艇を想定していないので反応が遅く波打つような機動になってしまいます。

それではレーサーではロスが大きいので、反応が早く、しかも大きく舵を切らないセッティングのピッチコントローラーが望まれていました。

110 RN Murateck55のピッチコントローラーの話 2

そこに現れたのが救世主RNさん。
なんと加速度センサーを使った電子制御ピッチコントローラを作ってくれました。

開発はRNさんテストは私、というスタンスで試作を繰り返してようやく完成したのがニュートラル位置の変更、操舵角の変更が可能な新型ピッチコンです。

電子制御方式ですから、レーサーのような高速艇から大型潜水艦模型まで対応でき、しかも機械式と違い自分でセッティングが出来るのが魅力です。実用域になった現在でも開発が続いていて進化し続けています。

市販している物ではありませんのでここで取り上げるのもどうかとも思いましたが、現状メンバー間でオーダーして作ってもらう状況ですが、需要があれば量産も可能になります 。

いかんせん私たちはかなりマイナーな趣味の愛好家ですからそうそう需要が広がるとも思えませんが、こういう技術の地道な開発が後につながっていけば良いのではないかと思っています。

後に制作する予定のENTERPRISE1701refitの各種ギミックコントローラもすでにお願いしていますからそちらはまたいずれ紹介すると思います。


 
         
 
111 ホントに怖い水の話 1 (106-108の補足)
私たち水中モデラーの一番の敵はいわずもがな水です。 でも水がなければ水中モデルも存在できません。ですからある時は水と戦い、ある時は水と友達になるという微妙な関係でつきあうことになります。

私が水中モデルを始めた当初は諸先輩方を見ていると皆さん何度も水漏れを起こしどうして漏れるような作りをするのだろう?・・・と、不思議に思っていました。私なら完璧に防水できるかも知れない・・・という思い上がりは最初の制作艦のE型をJAMSTECで走行させて10秒で崩れ去りました。

確かに前日までは完璧に防水が出来ていました。そして動作も問題ありませんでした。 そう、この前日というのがくせ者でした。

この時に使用していた接着剤、水に強いといううたい文句の接着剤が水に濡れて一晩で剥がれかけ、アンプに浸水し無惨にもコントロール不能で3.3mの水底に一直線・・・。あの時の感動・・じゃない絶望は今でも忘れません。

112 ホントに怖い水の話 2 (106-108の補足)
その絶望から半年、徹底的に接着剤と防水用の材料を研究して制作したのが完成後5年半年を超した現在のヴォイジャー。

接着剤を制す物は水中を制す!、その時に学んだ教訓です。

接着剤の話はtecknoteにすでに書いてありますがそれの補足として追記しようと思います。とにかく水はどこからでも入ってきます。少しでもこちらが隙を見せると情け容赦なく入ってきます。たとえばケースの外に出したアンテナ線の先端に防水処理をしないとここから毛細管現象のごとくしみこんできます。ケースの隙間などそれはもうそれ以前の問題です。

また、パッキンの劣化や、グリス不足なども容赦なく見逃してくれません。さらに時間経過による接着剤の劣化など、上げたらきりがありません。

そう、1時間の防水と、1ヶ月もつ防水と数年持たせなければならない防水というのは各々レベルが 全く違うのです。

113 ホントに怖い水の話 3 (106-108の補足)

先にも書いたように耐水性抜群のEP001ですら1年以上使うと変色し劣化が起こっていきます。

防水処理に使うのに適しているのはEP001とMOS7ぐらいなのですが、これですら時間による変化には逆らえません。

前回バスコークの上塗りの話をしましたが、実はバスコークではなくスーパーシールでした。 バスコークでも十分シールされますが乾燥が遅く作業的にはスーパーシールの方が乾燥が早く(それでも2~3時間は必要ですが)作業効率が良くなります。

また、スーパーシールのグレーは屋外用の補修剤でもあり耐候性などもバスコークより優れています。(値段も倍ぐらいしますが・・・)

それでもEP001を保護し防水性能をキープしてくれますからこれは積極的に使用した方が良いと思います。

バッテリーケースの蓋を閉め忘れるといったヒューマンエラーのたぐいのことではないからです。初心忘れるべからず・・・。本当に水は情け容赦ありません。


 
         
  114 すぎたるは・・・のOOサーボケース  
     
  プトレマイオスのサーボケースの2重のOリングには致命的な欠陥が・・・。防水能力を高めるためにサーボ側のOリングを二重にしたのですが・・・。
結果防水に関しては問題なく強力にシールしてくれています。ですが、ここで問題が発覚。 この二重というのがくせもので、今までのケースでは無かったトラブルが起こりました。 時間がたつとロッドが動かなくなる・・・

どうやらこれはOリングとOリングのわずかな隙間にはいっているグリスが固まりさらにOリング自体もロッドに密着してくっついてしまうという事らしいのです。

サーボを動かしながら少し手で動かしてあげると動くようになり、その日一日は問題なく動きますが、一週間ほど放っておくとまた動かなく・・・。

ヤマトやエンタープライズのサーボケースでは起こらなかったので、この2重のOリングが問題のようです。

上記のように操作すれば使えるので壊れるまで使おうとは思いますが、よかれと思ったことでも「過ぎたるはおよばざるがごとし」のたとえのごとく、やりすぎはだめなのかもしれません(´Д`;)
 
         
  115 たもつ模型のアンテナブースター  
     
 

プトレマイオスの新装備にたもつ模型のアンテナブースターを付けてみました。これは以前、追浜のプールでのテストを頼まれていた物で、次期製作のエンタープライズに搭載する予定でしたがプトレマイオスの受信感度があまりに悪く、水深2mも潜るとノーコンになってしまう症状が出たので急遽メカボックスを作り替えて搭載してみました。

ヤマトの時の経験から言うとアンテナの長さと船体内の這わせ方を工夫すればどうにかなるような気もしましたが、いい機会だったので科学技術を追加することで回避を図ってみました。

結果大成功です。3.3mゾーンの何所にあっても安定してきちんと受信してくれました。古いRPG風に言えば、「効果は抜群だ」です。
これは本当にすばらしく効果があるので、次期製作作品から標準で搭載しようと思っています。必須装備、と言ってもいいかもしれません。

これは40MHz帯の陸上用プロポ用なので、今流行の2.4Gのプロポには使えませんし、そもそも40MHzの陸上用プロポというのはすでに生産終了しているので、入手はオークションか、ネットで探しまくるかしか入手方法はありません。

新しく始めて見たいと言う人がいてもなおさら敷居が高くなっているのが残念ではありますが、時代の流れであるので致し方ないのかもしれません。

経験者ならともかく、初心者がオークションで送受信機を買うというのはかなり敷居が高いのだと思います。何を買っていいか見当が付かないというのが事実ではないでしょうか? そう言うときはアクアモデラーズのメーリングリストに参加して質問してみてください。

ここで、色々組み合わせを列記してもやることによって構成も変わってきますから、メーリングリストで質問すれば、やろうとする事から適切なアドバイスが得られると思います。
いろいろやりにくい環境になっては来ていますが、いまならまだ十分始められると思います。

 
         
  116 浮力バランスはかく語りき  
     
 

私のエンタープライズDは実は失敗作です。と言い切ってしまうと語弊がありますが、操縦する楽しさというのはあまりありません。それは何故か・・・

実は浮力バランスをきっちり取ると曲がらなくなってしまいます。その理由は船体の中央近くに位置したベクターノズルのせいであります。 あの位置だと水流の方向を変えても船体の支点自体が力点であるノズルのそばになり船体を曲げようとする力がかかりません。 これは公開しているD型のページを見てもらえばわかります。ですが・・・・PV映像ではちゃんと曲がってます。 それは何故か???

これは浮力バランスの裏技、のようなことを行っているからです。

D型を旋回させるにはちょっとしたこつがあって、噴射を断続的に、そして小刻みに噴射しているのです。これはどういう事かというと・・・

まず、ノズルを曲げて噴射すると水流の押す力で前進していきますがその時点で支点にかかる力が弱く前進し続けようとします。ですが、水流を弱めると今度は推進力が無くなり慣性力で進みますが、若干船体を曲げていく力が残るため支点を中心に慣性力で船体がドリフト気味に滑り出します。それでこれを繰り返すとカーブして行くような動きになります。

そしてここでものすごく重要なことは、船体自体の浮力バランスを水平より前よりが浮き上がるように調整しておくのが必須になります。これは、そうすることにより支点が前になり曲がりだしてからの力点と支点の距離が長くなり船体を曲げようとする力が大きく作用していくからです。

つまり前の方の浮力が強く、後ろ側が弱い、静止させると後ろが沈んでいるようなバランスが必要になります。

でもこれって、これ頼みで操縦するというのもどうかなと・・・
実は、ものすごくきれいに水中での姿勢を合わせて完璧な浮力バランスを取ってしまうとまったくと言っていいほど、何をやっても曲がらなくなります。
これこそ物理的に正しい結果と言わざるを得ませんけど・・・ね


 
         
  117 浮力バランスはかく語りき2